top of page
背景1.png

第15回理科シンポジウム

​概要

新学習指導要領が実施される中,「主体的に学習に取り組む態度」の評価に悩む声が聞かれるようになりました。本シンポジウムでは,この評価の考え方や取り組み事例などをパネリストから紹介して頂くとともに,総合討論により,理科教育の評価の在り方について考えていきました。

DSC00003.JPG

開会挨拶・趣旨説明

中野 幸夫 教授
(東京学芸大学 理科教員高度支援センター長)

今回の理科シンポジウムの開会挨拶と、新学習指導要領が高校でも実施となる中、「学習に取り組む態度」をどのように評価するべきか、現場の教員には戸惑いがあります。今回のシンポジウムでは実践として「態度」を評価する事例として各パネリストにその事例を紹介して頂きました。

第1部 パネリスト講演

「主体的に学習に取り組む態度」の評価にどう臨むか

人見  久城 教授

(宇都宮大学大学院教育学研究科)

「主体的に学習に取り組む態度」の評価については,「知識及び技能を獲得したり,思考力,判断力,表現力等を身に付けたりするために,自らの学習状況を把握し,学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら,学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価することが重要である」と指摘されている。中教審答申第228号(2021)では,「個別最適な学び」と「協働的な学び」の推進が提言されているが,これら2つの学びに対しても,「主体的に学習に取り組む態度」の評価は重要な鍵になると考えられる。評価に関する論点や要点を整理し,議論を深めたい。

人見先生.jpg
鮫島先生3.jpg

国際バカロレア実践の視点から考える

「主体的に学習に取り組む態度」の評価

鮫島 朋美 教諭
(東京学芸大学附属国際中等教育学校)

学習指導要領の改訂に伴い、資質・能力の三つの柱に基づいた目標や内容の再整理を踏まえて、観点別学習状況の評価の観点については、小・中・高等学校の各教科等を通じて、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理された。しかし、高校現場での観点別評価実施には、様々な課題があると言われている。一方、国際バカロレア(IB)の教育プログラムでは、厳格な評価システムが用いられ、観点別評価が定着している。IB理科では、科学の本質(Nature of science : NOS)を包括的なテーマとする教育・学習へのアプローチを促進するように設計されており、評価の観点(規準)も明確に示されている。本シンポジウムでは、IB理科の評価実践をもとに、「主体的に学習に取り組む態度」の評価の具体について議論していきたい。

高校「物理基礎」における観点別評価の実践例

勝田 仁之 教諭

筑波大学附属高等学校)

発表者は、高校で物理を教えており、授業では集団の力を最大限利用する、アクティブラーニング型の授業を行っている。物理教育研究の手法に則り、授業効果を測定すると、クラス全体のスコアは高い。一方、物理概念がうまく獲得されない生徒も一定数いる。そのような生徒たちが、授業を通してどのように考えているかを探り、学びを変えていく支援をするために、ワークシートを活用した観点別評価を実践している。講演では、今年度前期の実践について、困難や失敗も含めて報告し、参加者と議論したい。

DSC00012.JPG
斎藤先生1.jpg

地学基礎における「指導と評価の一体化」を目指したカリキュラムづくり

齋藤 洋輔 教諭
(東京学芸大学附属高等学校)

「主体的に学習に取り組む態度」の評価を含め,評価をどのように行うのかという議論では,どのような授業を実践していくのかということがセットになって議論されることが大切である。「指導と評価の一体化」ということである。合わせて,そのようなことを考えたとき,1つの授業をどうするかということよりカリキュラムをどうつくるのか,ということを考えたほうがより効果的かつ建設的であろう。本講演では,地学基礎におけるカリキュラムづくりを事例にしながら,「主体的に学習に取り組む態度」の評価をどのように行うのかについて提案する。

第2部 総合討論

「主体的に学習に取り組む態度」の評価にどう臨むか

司会:新田 英雄 特命教授

(東京学芸大学 理科教員高度支援センター)

パネリストの皆さんから講演の後,参加者からのご質問をもとに,総合討論を行いました。参加者の皆さんから多くの質問があり,「主体的に学習に取り組む態度」をどう評価するかについて,さまざまな課題に直面し,その解決策を模索しようとする,教員の皆さんの真摯な姿勢がうかがえる討論会でした。

DSC02441.JPG
bottom of page